片思いの夢は、細部が消えても気分だけが残ることで知られます。伝統はこれを相手についての夢ではなく、望みと期待についての夢として扱ってきました。相手が別の誰かといる場面も、よく語られる型のひとつです。
眠る前にいちばん長く考えていた相手が、いちばん夢に出やすい相手です。片思いは定義からしてその時間を大きく占めるので、この夢が起きる仕組みに不思議なところはあまりありません。解釈する人もそこを前提にして、夢の中で自分がどう扱われたかのほうを見ます。あたたかさや気楽さは望みのある感覚と、無視されたり断られたりする場面は相手の情報ではなく自分の側の不安と結びつけられてきました。
この種の夢で覚えているのは筋書きではありません。細部は消えているのに気分だけが妙にはっきりしていて、そのまま一日の上に居座ることもあります。伝統的な解釈では、これは相手についての夢というより、望むことと期待することについての夢とされます。相手は自分の思いが着ている衣装のようなものだ、という言い方も古くからあります。
相手がすでに気持ちを知っていた、という夢は、自分から動かずに事態が片づいてほしいという願いとして読まれます。相手が別の誰かといる夢は非常によくあり、比較と自信のなさに結びつけられます。何も起きず、ただ一緒にいるだけの夢がいちばん心に残ったという報告も多く、恋愛そのものより近さを求める気持ちと関係づけられます。何年も前の相手が出てくる場合は、その人よりも、その人が属していた時期のほうを指すとされます。
目が覚めたあと、相手の顔をまともに見られなくなったという話もよく聞きます。これは夢の意味ではなく、感情が強く残ったことの副作用です。夢の中の出来事を、相手に伝えるべき合図として扱う伝統もありません。夢は起きている時間の関心を映しているだけで、相手の側の事情については何も報告していないからです。
誰かの夢を見たらその人もこちらの夢を見ている、という説を支える伝統はありません。感じのよい話ではありますが、引用に値する解釈の資料には出てきません。夢は見た人のもので、材料もその人のものです。その相手が何を表しているのか、自信なのか、安心なのか、思い描く暮らしなのか、単なる新しさなのか。そこに意味があり、同じ人を知る別の誰かにとっては、まったく違うものを表しているはずです。