舌を噛む夢が自制として読まれるように、この項目は味ではなく言葉を扱います。動かない舌、止まらない舌、噛んでしまう舌。三つの型がそれぞれ別の枝を持ち、味覚の話に行き当たることはほとんどありません。
舌を噛む夢は、ほぼどこでも自制として読まれます。日常の言い回しと夢の意味がぴったり重なる、珍しい例です。味の話だろうと思ってこの項目を開いた人は、たいてい別のものに行き当たります。解釈の伝統では、舌は言葉そのものを担っていて、実際に報告される夢もそれを裏づけます。よく働く舌は言いたいことを言える状態、どこか具合の悪い舌はその妨げ、という対がこの項目の骨格です。
最も多いのは、舌が言うことを聞かない夢です。言葉がぐずぐずに崩れて出てくる、口の中が詰まって一音も作れないと語られ、読み方は素直です。言えないままになっている何かがある、というものです。逆に、しゃべり続けて止められない夢は、取り消しの利かない言葉として理解され、前の日の午後に言ったことを気にしながら目覚める人が多い型です。
この感覚には身体の側からの説明もあります。眠っているあいだ筋肉はゆるみ、金縛りに近い状態も重なります。象徴に手を伸ばす前に知っておく値打ちのある話です。言い争いのあった夜や、翌日に人前で話す予定がある晩に、この型が増えるという報告もあります。予定表を先に見ておくと、思い当たることは案外多いものです。
もっと激しい場面は同じ考えをより強い力で運び、古い資料はそれを、自分ではなく誰か他の人に言葉を抑えられている状態として扱いました。いずれも体そのものについての指摘とはされていませんし、そう受け取るものでもありません。日常の言い回しと重なるぶん、この型は覚えやすいともされます。
二つの言語のあいだで暮らす人は、どんな一般的な辞書も届かない型を知っています。よく知っているはずの単語を口が形にしない夢、まるごと違う言語で文が出てくる夢です。それが日々の実感であれば、この夢は象徴ではなく具体的な事情を描いています。移った先で自分の名前の言い方をまだ決めかねている、といった事情も同じ働きをします。受け継がれた解釈より、自分の読み方のほうが確かだと言えます。