スプレッドとはカードを配る位置の型のことで、位置ごとにそのカードが答える問いが決まります。まず覚えておきたい一枚引き、三枚を横に並べる型、五枚を十字に組む型の三つを、名づけ方の実例とともに紹介します。
タロットスプレッドとは、カードを配る位置の型のことで、型の中のひとつひとつの位置が、そこに出たカードに答えさせる問いを決めています。同じカードでも「何がこの状況を支えているか」という位置に出るのと、「何が助けになるか」という位置に出るのとでは、読み方がまるで違ってきます。展開そのものが占いの半分近くを担っていると言ってもよいくらいです。
初心者が知っておくべき型は三つで足ります。一枚だけのカード、横一列に並べる三枚、そして十字に組む五枚です。これより大きな型も仕組みは同じで、動く部分が増えるだけなので、この三つを覚えたあとのほうがずっと楽に学べます。位置の数が増えるほど、ひとつひとつの意味づけも難しくなっていくので、慣れないうちに大きな型へ手を伸ばす必要はありません。
どんな展開でも成立させる決まりごとはひとつだけで、それぞれの位置が何を意味するかを、カードに触れる前に決めておくことです。口に出すのでも紙に書くのでもかまいませんが、あとから決めてはいけません。出た後に位置の意味を決めると、すでに引いてしまったカードに都合よく合わせてしまい、占いは自分がもともと信じていたことをそのまま映して返すだけになります。
問いの立て方も同じ考え方です。相手から連絡が来るかどうかを尋ねると、78枚の絵で成り立つデッキに、もともと得意ではないはい・いいえの答えを無理に求めることになります。その代わりに、自分が状況の何を見落としているかを尋ねれば、カードには答えるべき対象ができ、出てきた答えにも次にすることが見えてきます。
シャッフルのやり方は好みで構いません。上から配って裏向きに並べ、位置の順番どおりに一枚ずつ表に返していきます。全部を一度にめくってしまうと、いちばん目を引く絵から逆算して残り全体をこじつけて読んでしまいがちです。一枚ずつ表にしていくやり方なら、最初のカードだけを見て考えたことが、次のカードで裏切られる感覚もそのまま体験できます。
一枚だけを引き、そのカードにひとつだけ役割を与えます。今日一日で気をつけておくことは何か、これから向かう場面の空気はどんなものか、といった問いがよく合います。
最初にここから始める意味は大きく、比べる相手のカードがないぶん、絵をよく見るしかなくなるからです。描かれている人物が何をしているか、場面が落ち着いているのか混み合っているのか、それが自分の問いにどうつながるのかを、順を追って言葉にする必要があります。この描写する力こそが土台で、位置の多い展開に進むと、つい描写を飛ばして物語のほうへ急いでしまいがちです。
引いたカードの名前と、その日一日がどうだったかを一行だけ書き留めておくとよいでしょう。一か月も続ければ、本で覚えた意味より、自分の言葉でつかんだ意味のほうがずっと手に馴染みます。同じカードが二度、三度と出てきたときに、前回の一行を読み返せるという実用的な利点もあります。
三枚を左から右へ並べて配ります。よく知られる位置の名づけ方は過去・現在・未来ですが、これはあまり良い選択とは言えません。三枚目のカードを、読みではなく予言として受け取らせてしまうからです。同じ三枚でも、位置の名づけ方さえ変えれば、まったく別の問いに答える型として使い回せます。
同じ三つの位置でも、次のような名づけ方のほうが役立ちます。
三枚は三つの判定としてではなく、ひとつづきの文として読んでください。スートや色調がそろっているか、描かれた人物が互いに向き合っているか離れているか、そうした点に注目します。すべての絵がにぎやかな一列と、真ん中だけ静かな一枚が挟まる一列とでは、個々の意味が同じでも伝わってくるものがまるで違います。
五枚のクロスは、こんがらがった状況を扱えるだけの広さを持つ、最初の型です。中央に一枚、その左右に一枚ずつ、そして上下に一枚ずつ配ります。並べ終えた形が十字に見えることから、この名前で呼ばれています。
とりわけ見比べる価値があるのは上と下の一組です。この二枚が一致していれば、自分の気持ちはすでに整理できていて、あとは実務的な問題だとわかります。二枚が食い違っていれば、そこにこそ本当の難しさがあり、残り三枚はその食い違いについての注釈として読めます。
型の大きさは、問いの大きさに合わせて選びます。一日の気分なら一枚、はっきりした決断や行き詰まった悩みなら三枚、何週間も抱えたままのこんがらがった話なら五枚です。転職を迷っているなら三枚の「選択肢A・選択肢B・どちらも触れていないこと」がちょうどよく、実家との関係のようにいくつもの事情が絡み合った話には五枚のクロスのほうが向いています。気に入らない答えが出たからと余分にカードを足していくのは初心者にいちばんよくある癖で、占いをただの雑音に変えてしまう近道でもあります。
正直なところを言えば、カードがしているのはランダムな絵と、それを結びつけざるをえない位置を差し出すことだけです。結びつける作業をしているのは自分自身で、価値が生まれるのはその途中で浮かび上がってくるもの、気づいていなかった反論や、カードを置いた瞬間に感じるほっとした感覚やひっかかり、口に出してみて初めてはっきりした本音です。これから起こることの報告としてではなく、問いを筋道立てて考えるための道具としてこの三つの型を使えば、何年たっても役に立ち続けます。展開の型そのものはいつまでも同じ三つのままでよく、変わっていくのはむしろ、それを使う自分の側の問いのほうです。