日食と月食はどう違うのですか?

日食は月の影が地球に、月食は地球の影が月に落ちる現象です。新月・満月のたびに毎回は起きない理由、皆既・部分・金環の違い、月が赤く見える仕組み、占星術での読み方までひととおりまとめました。

「日食」と「月食」は、どちらも太陽・地球・月がほぼ一直線に並んだときに起こる現象ですが、影の主役が逆になっています。月食は地球の影が月の表面に落ちる現象で、日食は月の影が地球にいる私たちの上に落ちる現象です。三つの天体がほぼ一直線に並ぶ必要があるため、新月や満月のたびに起きるわけではなく、条件がそろった回だけに限られます。

なぜ毎月は起きないのか

日食が起こるのは新月のとき、月食が起こるのは満月のときに限られますが、新月と満月そのものは毎月訪れるのに、その大半は何も起きずに過ぎていきます。原因は月の通り道の傾きにあります。月が地球をまわる軌道は、地球が太陽をまわる軌道の面から五度ほど傾いているため、たいていの新月では太陽の手前を少しそれた位置を通り過ぎ、たいていの満月では地球の影の外側を通っていきます。

月の軌道が地球の軌道面と交わる二つの点は「交点」と呼ばれ、太陽は一年に二回、この交点の近くを通過します。日食や月食が起きるのは、新月か満月がちょうどこの交点の近くに重なったときだけで、その時期は日食シーズンと呼ばれます。一回のシーズンはおよそ一か月続き、この中に新月と満月が二週間ほどの間隔でおさまるため、日食と月食は一回ずつ対になって起こることが多くなります。シーズンとシーズンの間隔は約173日で、一年より短いため、日食や月食が起きる時期は年々少しずつ早まっていきます。一年のうちに起きる回数は最低でも四回、多い年には七回に達します。

さらに大きな周期として「サロス周期」と呼ばれるものがあります。18年と11日と約8時間が経つと、太陽・地球・月の位置関係がほぼ同じ状態に戻り、よく似た日食や月食が繰り返されます。半端な8時間のぶんだけ地球が余分に自転しているため、同じサロス周期の日食でも、実際に見える場所は地球上の別の地域にずれます。

太陽が隠れるとき

日食は、太陽と月の見かけの大きさがほぼ同じという偶然の上に成り立っています。太陽は月よりも直径がおよそ四百倍大きい代わりに、地球からの距離もおよそ四百倍遠いため、地上から見るとほとんど同じ大きさに重なって見えます。ただしこの偶然は永遠には続きません。月は一年ごとに数センチメートルずつ地球から遠ざかっているためです。

月が地球に近い位置にあるときは太陽をすっぽり覆い隠し、皆既日食になります。逆に月が地球から遠い位置にあるときはわずかに太陽を隠しきれず、ふちが光の輪のように残る金環日食になります。日本国内でも2012年5月21日に金環日食が広い範囲で観測され、通勤時間帯の空を大勢の人が見上げました。太陽と月の中心が少しずれている場合は部分日食となり、太陽の一部が欠けて見えるだけで、これがもっとも頻繁に観測されるタイプです。皆既日食が見られる帯はとても狭く、幅にして数百キロメートルほどしかないため、同じ地点で皆既の状態が続くのはせいぜい数分、最大でも七分半ほどです。

太陽を直接見るときの注意は形だけのものではありません。欠けた状態の太陽を裸眼で見続けると、網膜が痛みを感じないまま焼けてしまうことがあります。サングラスや黒く感光させたフィルム、スマートフォンのカメラでは太陽光を十分に弱められないため、日食観測用に作られた専用の遮光フィルターを使う必要があります。例外は皆既日食のあいだ、太陽が完全に隠れている数分間だけで、太陽の縁が少しでも見え始めたら、すぐにフィルターを戻さなければなりません。金環日食は輪の形になっていても太陽光そのものは出続けているため、フィルターなしで見てよい瞬間は一度もありません。

地球の影が月を覆うとき

地球が作る影には二つの部分があります。太陽の光が完全にさえぎられる内側の濃い部分は本影、光の一部だけがさえぎられる外側の薄い部分は半影と呼ばれます。月全体が本影の中に入ると皆既月食、一部だけが入ると欠けた縁が丸く見える部分月食になり、この丸い縁は、かつて地球が球体であることを示す証拠のひとつにもなりました。半影だけをかすめる場合は半影月食と呼ばれ、見た目の変化がわずかなため、空を見上げても気づかない人がほとんどです。

皆既月食でよく知られているのは月の色です。月は真っ暗にはならず、赤銅色に染まります。これは地球の大気が関係していて、地球のふちをかすめた太陽光が大気の中で屈折しながら影の中に届く際、青い光は散らされて失われ、赤い光だけが月面まで届くために起こります。つまり見えているのは、そのとき地球上のあらゆる場所で同時に起きている日の出と日没の光を、月面に映した姿ということになります。「ブラッドムーン」という呼び名はこの色からきています。月食は数時間続き、そのとき月が出ている地域であればどこからでも観測でき、地球のおよそ半分の地域が同時に見られる計算になります。日食と違ってフィルターも特別な道具も必要ありません。

占星術ではどう読まれているか

占星術では、日食と月食は音量を上げた新月・満月として扱われます。新月に始まりの意味を、満月に到達の意味を読み取る基本の考え方はそのままですが、日食や月食が重なると、その変化の規模と急さが強調されるとされています。前触れなくやってくる転機や、後になって新しい始まりだったとわかる終わりと結びつけて語られることが多いようです。

先ほど触れた交点にも、占星術ならではの呼び名があります。月が北へ向かって交点を通過する側はドラゴンヘッド、その反対側はドラゴンテイルと呼ばれ、前者は伸ばしていく方向、後者は手放していく慣れ親しんだ場所を示すと読まれます。二つの交点は星座の輪の上でちょうど正反対に位置するため、日食や月食は決まって反対どうしの二つの星座で起こり、その組み合わせはおよそ一年半のあいだ変わりません。同じ時期に日食や月食が続けて起きると、生活の同じ部分に繰り返し光が当たっているように感じられることがあります。

古い時代の読み方はもっと不吉なものでした。日食は多くの場合、統治者に向けられた悪い前触れとされ、古代の記録には、その災いを身代わりに引き受けさせるための身代わりの王を一時的に立てたという話まで残っています。昼間に太陽が消えるという出来事が理由もわからないまま起きれば、恐れを抱くのも無理はありません。仕組みが解明された今となっては、そのまま受け取る必要のない話です。

日食・月食の情報とどう付き合うか

  • 大きな決断はいったん寝かせてから。日食や月食の前後数日は取り返しのつかないことを始めないほうがよいとよく言われます。裏づけになる証拠はありませんが、実行してもほとんど損はありません。
  • その日に起きたことを記録しておく。日付と出来事を書き留めておき、次の日食シーズンが来たときに読み返してみてください。自分にとって意味があるかどうかを確かめる、いちばん正直な方法です。
  • 関わっている星座の組み合わせに注目する。同じ組み合わせはおよそ一年半保たれるため、単なる思いつきではなく、後から確かめられるテーマとして扱えます。
  • 実際に空を見上げる。皆既月食はお金もかからず、夜更かしする価値があります。皆既日食は、そのために旅行する人がいるほどの光景です。
  • 不安をあおる情報は割り引いて読む。ネット上の日食・月食にまつわる話は、警告めいた内容のほうが広まりやすい傾向があります。

よくある質問

日食と月食はどのくらいの頻度で起きるのですか?
日食シーズンはおよそ173日ごとに巡ってくるため、一年に二回ほどのペースです。一回のシーズンでたいてい日食と月食が一つずつ、二週間ほどの間隔で起こります。そのため一年のうちに起きる回数は最低でも四回、目立たない半影月食まで含めると七回に達することもあります。周期が半年よりわずかに短いため、日付は年ごとに少しずつ早まっていき、同じ月に二回とも起こる年もあれば、片方しか目にできない年もあります。
日食を肉眼で見ても大丈夫ですか?
月食は肉眼でまったく問題なく、道具も必要ありません。日食はそうはいきません。太陽がほんの少しでも欠けずに残っていると、痛みを感じないまま視力を傷つけるおそれがあるため、日食観測用の専用フィルターが欠かせず、ふつうのサングラスや黒く感光させたフィルムでは代わりになりません。太陽が完全に隠れる皆既の瞬間だけは、フィルターなしで見ても大丈夫ですが、その瞬間はごく短いことを忘れないでください。
月食のとき月が赤くなるのはなぜですか?
地球の大気が、地球のふちをかすめた太陽光をわずかに曲げて影の中まで届けているためです。その道中で青い光は散らされて失われ、赤みの強い光だけが月面まで届くので、月は消えるのではなく赤銅色に見えます。地球上のあらゆる場所で同時に起きている日の出と日没の光が、そのまま月面に映し出されていると考えるとわかりやすいはずです。実際の色合いは、光が通り抜けてきた大気中の塵や雲の量によって変わります。
日食や月食は縁起が悪いとされているのですか?
何千年ものあいだ不吉な前触れとして語られてきました。理由のわからない昼の暗闇が本気で人を不安にさせ、古代の記録には災いを身代わりに引き受けさせるための王を一時的に立てたという話まで残っているほどです。現代の占星術ではその見方はやわらぎ、不運というより加速した転機として扱われることが多くなっています。どちらの見方にも確かな裏づけはなく、日食や月食は計算どおりの瞬間に影が届く天文現象にすぎません。

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