生まれた瞬間の太陽・月・惑星の位置を、生まれた場所から見上げた向きのまま描いた図が出生図です。何を材料に組み立てられ、どの順番で読むとよいのか、そして図が本当のところ何を語れるのかをまとめます。
出生図は、生まれた瞬間に太陽・月・惑星が空のどこにあったかを、生まれた場所から見上げたそのままの向きで描き写した図です。占星術によるほかのあらゆる説明は、この一枚から組み立てられていて、記録するのはただ一瞬だけ、その後は書き換わりません。
一覧表ではなく円で描かれるのがこの図の特徴です。円は、生まれた場所を取り巻く空をまるごと表していて、目に見えていた半分と、地面の下に隠れて見えていなかった半分の両方を含んでいます。生年月日だけを手がかりにした説明はどうしても大まかにならざるを得ませんが、出生図はそこに時刻と場所を重ねることで、ひとりひとりの違いを浮かび上がらせます。
生まれたその瞬間に外に立って、ゆっくり一周したところを思い浮かべてください。頭の上にあるものだけでなく、足もとの地面の下に隠れているものまで、その一周ぶんすべてが円の中に収められます。円の真ん中を横切っているのが地平線です。
円の左端は東で、天体はここから昇ってきます。右端は西で、天体はここで沈みます。上のあたりはほぼ頭の真上、下半分はそのとき地球の反対側にあって見えていない空です。円の下のほうに描かれている天体は、見当たらないのではなく、生まれた瞬間はただ足の下にあっただけです。福岡で生まれても北海道で生まれても考え方は同じで、必要なのは正確な時刻と、その土地の緯度・経度です。
同じ日付でも出生図がまるで別人のように違って見えるのはこのためです。数時間ぐらいでは惑星自体はほとんど動きませんが、円は一日に一周してしまうので、同じ並びの惑星でも時刻が違えば図の中でまったく別の場所に描かれます。
出生図に書かれていることのほとんどは、次の三つの組み合わせです。どれがどれにあたるか区別できると、読みにくさの大半は解消します。
出生図の一行はたいてい、惑星・星座・ハウスの三つを重ねたものです。どの活動が、どんなやり方で、生活のどの領域に表れるか。この組み立て方に慣れると、賛成できない内容も含めて、占星術の文章はぐっと読みやすくなります。
新聞や雑誌の星占い欄は、たいてい太陽星座だけをもとに書かれています。十二種類しかない分類なので、限られた紙面や画面に全員分をまとめて載せられるという事情によるものです。全国紙の占いコーナーが短い一言で終わっているのも、同じ理由からです。
出生図はそれとは扱う情報量がまるで違います。十個前後の天体と十二の星座、十二のハウスの組み合わせを同時に扱うため、同じ太陽星座の人同士でも出生図はほとんど一致しません。星占い欄はその日その日の気軽な話題に向いていて、自分ひとりの細かな傾向を知りたいときは出生図のほうに分があります。どちらが正しいというものではなく、扱っている情報の細かさが違うだけです。
必要な情報は三つだけです。日付は太陽の位置を決め、動きの遅い外側の惑星についてもおおよその位置を与えます。時刻は数日ごとに星座を移る月の位置を正確に決めるほか、円そのものの向きを固定し、ハウスの位置を左右します。生まれた場所は地平線の向きを決めます。同じ瞬間でも、生まれた場所が変われば地平線の傾き方も変わるからです。
時刻は出生届の控えや産院の記録に残っていることが多く、当時その土地で表示されていた時刻をそのまま入力すれば、夏時間の有無を含めて計算ツールが自動で処理します。自分で時差を計算し直す必要はありません。場所については、育った町ではなく、実際に生まれた町を入れるようにしてください。里帰り出産で生まれた場所と、その後ずっと暮らしている町が違うという人ほど、ここで思い違いが起きやすくなります。
出生時刻の記録が見つからない場合でも、太陽と月の位置は日付だけでかなりの精度まで求められます。抜け落ちるのは上昇星座とハウスの位置だけなので、まずはそれ以外を確かめてみるという手もあります。
完全な出生図には数十の情報が詰め込まれていて、一度に全部は誰も飲み込めません。順番を決めて読むほうが現実的です。
最初に太陽・月・上昇星座を見ます。何を目指し、内心どう感じ、初対面でどう映るかが、この三つでひと通りわかるからです。次に火・地・風・水のバランスを数え、多い要素だけでなく薄い要素にも目を向けます。水のエレメントが一つもないといった偏りは、それだけで読み手にとって手がかりになります。そのあとで、天体が円のどこに集まっているかを見ます。一角に固まっていれば生活が数少ない領域に集中しやすく、まんべんなく散らばっていればエネルギーの向かう先も分散しやすいと読まれます。
アスペクト、つまり二つの惑星のあいだの角度を学ぶのはそのあとで十分です。二つの部分が助け合うのか、ぶつかり合うのかを読む材料になりますが、初心者がいちばん迷いやすい部分でもあるので、まず基本の並びが自然に頭に入ってからで構いません。一度にすべてを覚えようとせず、気になった一部分だけを毎回少しずつ、時間をかけて確かめていくほうが、結局は長続きします。
図に描かれている天体の位置そのものは実在の観測データにもとづいていて、確かめることができます。使われている数値は航海や日食の予測にも使われているのと同じ計算がもとになっていて、きちんと作られた計算ツールなら観測所の数値と小数点以下の誤差でしか違いません。この部分に関しては、占星術に懐疑的な人と肯定的な人のあいだで、実際のところ争いはほとんどありません。
一方で、そこに添えられる意味は別の話です。証拠にもとづいて検証する手立てはなく、この先に何が起きるか、何をすべきかを出生図が言い当ててくれるわけでもありません。受け継がれてきたのは、あくまで長い年月をかけて育った解釈の伝統です。誠実に扱うなら、その値打ちはむしろ構造の面にあります。自分の中にある矛盾に言葉を与え、他人に見せている顔と誰も見ていないときの顔との差を、驚くほど的確に言い当ててくれます。象徴がそれ以上の何かを持っているかどうかは、使いながら自分自身で判断してよい問いとして残しておいて構いません。